1時間SSをあえて30分でやったよ企画。 お題「神様のバースディ」

「クリスマス、というものは。一体、どういったものなのでしょうか?」
水滴が、生き物のように舞っていた。
けれど鮮明な色を持たず、どちらかと言えば、ソレは濁りを模していた。
しかし、何か影響を受けて染まっているようには思えない。なぜなら、それは汚れを知らぬ、純白の色を示すからだ。
12月22日。
24日か25日であれば、ホワイトクリスマスというロマンチックな夜空で、彼女は、問いただすように小首を傾げた。


「お題:神様のバースディ」


蛍光灯の光は、予想以上に反射が激しい。
光はいとも簡単に遮る。遮りは、視認する者のことを指し、彼等は自然と目を瞑る。
反抗という言葉がある。
彼女はテロリストでも、ましてや咎人でもない。
どちらかと言えば、中高生にありがちな方だ。
で、あるからこそ、この行為は反抗、と、呼ばれた。
屈折する光の遮りを退け、彼女は、ついに作曲家の手にする紙を認識出来た。
「これが、新しい曲……ですか?」
同時、紙を手に持つ男が彼女を見る。けれど、問いに答えたのは、後ろで立ち尽くす、スーツ姿の男であった。
「ああ。この曲を、貴音に歌ってもらおうと思ってな」
貴音、と呼ばれた少女は、その言葉に後ろを向く。銀髪の髪が翻り、何事もなかったかのように元鞘へと、崩れ知らずのようであった。
へぇ……、と、言葉を漏す。
彼女は下を見下ろす。自身の履く真っ白なブーツが見える。
思考の海にいるのだと感知した彼は、貴音の奥で座る人物に告げる。
「今日は、歌詞カードを受け取るだけでいいんですか?」
ええ、と相手は即座に返事をした。
ならば、と、彼はソファの隅に追いやった、自身の鞄を持つ。
その間数秒で、既に場面に動きがあった。作曲家である彼が、貴音に歌詞カードを渡していたのだ。
その紙を、畏まるように受け取る。その腰は低く、どこかとっかかりでもあるようだった。
だから、彼は何も言わず。けれど、告げることは有り、
「帰るぞ、貴音」
その言葉で、貴音は返事もせず。俺へと向かって歩き出した。



――そして、現在がある。
俺には、貴音が何が言いたいのか、理解できなかった。
けれど踵を返すには、少し時間が遅すぎたのか、
「神様の……誕生日を祝う日、なんですよね? では、待ち合わせているのは、神様、なのでしょうか……?」
なんと面妖な、と驚愕の顔でこちらを見る。
どこからつっこんでいいのか分からず、とりあえず、と、彼は、深呼吸をした。
彼の行動にさらに小首を傾げながらも、貴音は疑問が振り払えないようだ。
「待て、まて、マテ。たしかにそれは歌詞だから、幻想的な物であるのは認めよう。けれどな、いいか……お前、本気か?」
こっちが、その面を拝借したい所であった。
たしかに、貴音が世間知らずだと思える言動は多い。知らないことは仕方ないことで、だからこそ、その度に補いの言葉をかけることはあったが。
クリスマスは知ってるだろう普通……!







時間切れでしたね