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アイマスSS「初心者二人」

淑女の化粧にしては薄く、少女の化粧にしては、それは濃すぎた様であった。 白がそこに在る。私の居る世界にしては、それはとても小洒落ていた。 大地はまるで、白粉でもつけるが如き色を纏い、紅を塗るように私の手を紅くさせる。 その冷えた手を額に当て、…

悲恋夢のセパレーション

聖母の奏でる鍵盤の調べが、電子音のシンセサイザーへと変遷する。 幾重の音が散らばり、全ては見事な調和を見せ、天へと至るような音楽となって世に広まっていた。楽団はそれぞれの役目を務め、彼等が際立たせるのは、この私であった。 けれど、私には全て…

四条貴音バースデーSS「千早編:祝福の歌」

「歌……とても、上手なのですね」 照らす月は既に雲に隠れ、灼熱の輝きは、地面へと還っていった。 全ての照明が消え、暗幕が貼られ、歓声も、私を見つめる瞳も。全てが閉じたこの空間。 息を整え、落ち着いた様で胸を撫で下ろす彼女に対し、突然、隣の少女は…

一時間SS:お題「夜」 

右手を天上に掲げると、広げきった隙間から、光が差し込む。 左手は自らの頭を支え、他の四肢は、だらけきって地面へ屈する。 フローリングは季節の変わり目を投影し、氷面上のような冷却を持つ。 そんな場所であってもなお、彼女は寝転がることを選択した。…

一時間SS:お題「初夢」 はるちはSS「キスから始まる初夢の幻」

一銀の星。 それを覆う漆黒の曇天。 ソレはブラウンの天幕を見に纏い、私へと向けて降り注ぐ。 雨のように一瞬で消えることもなければ、積もることは決してない。 けれど同じように、嫌悪と情緒なきことと思えた。なんというか、くすぐったいのだ。 顔にかか…

ついったーから来た1時間アイマスSS:お題「夕焼け」

群青が宙で瞬き、その青が淀みなく私を見つめる。 私の目を見て、それはただ在り続けた。 周囲には渦のように紺碧がある、同時、光がそれを遮り、邂逅を導くが如く、一筋の線が出来ていた。 ――それを、人は飛行機雲と呼ぶ。 渦巻く量からして、エンジンによ…

三浦あずさ誕生日記念SS「10 years after] (前)

蓋を開ければ月様二つ。 網膜に覆われし、厚塗りされた半球体を見る。 それは、料理人の繊細な調節で出来上がる、至高の一品である。 先程注いだ水は、ほとんど消え。逆に浸食を抑えてくれる。 加熱する機器を止め、その浅い鍋を利き手でない方で掬い、片方…